SF小説 Starforge Odyssay

Starforge Odyssey 第7話

銀河巡航船アステリア号と旅立ちの時

修行空間から戻ったヤマトを前に、長老セラフィオンは静かに佇んでいた。

その背後には、アリオンが腕を組んで立っている。

セラフィオンは、ゆっくりとアリオンへ向き直った。

「アリオン。ヤマトの精神修養は、これで終わりだ」

アリオンは深く頷く。

その表情には、師から重大な任務を託された者の覚悟が宿っていた。

「これから先は、お前が導け。ヤマトは第4密度へと上昇した。
 次に必要なのは、本格的な銀河への“旅立ち”だ」

セラフィオンの声は穏やかで、しかし、揺るぎない。

「じゃあの。ヤマト! 銀河を楽しめ!」

「師匠、ありがとうございました」

ヤマトは、セラフィオンに深々と頭を下げた。

アリオンは一歩前に出て、ヤマトの前に立った。

「ヤマト」

アリオンの声は、どこか誇らしげだった。

「アステリア号が完成した。これは、君の船だ」

ヤマトは息を呑む。

自分の船──その言葉の重さが胸に響く。

アリオンは続けた。

「今日から、君は、この船の艦長(キャプテン)だ。私は同船しない。
 だが、レイラが副長として、君を支える」

レイラが静かに微笑む。

その瞳には、深い信頼が宿っていた。

「そして、船の扱いは、これから、カイがレクチャーする。
 彼は技術の天才だ。安心したまえ」

カイは軽く手を挙げ、にやりと笑った。

「よろしくな、ヤマト。
 この船は、お前さんのために調整してある」

アリオンは、ヤマトの肩に手を置いた。

「ヤマト。これは、ただの船ではない。
 君の“使命”を運ぶ器だ」

その言葉を残し、アリオンは静かにその場を去った。

「感謝します。アリオン隊長」

ヤマトは、隊長の背中が光の中に消えていくのを見つめていた。

カイが、ヤマトを船内に案内しながら説明を始める。

「まずは、船の概要と構造からだ。
 アステリア号には、最新型のAIが搭載されている。
 航行、環境維持、分析──ほとんどはオートメーションだ」

ヤマトは、船内のハイテク装備に圧倒されていた。

白と青を基調とした空間は、どこか生き物の内部のように滑らかで、
壁面には柔らかな光が流れている。

「ただし、バブル・ジャンプだけは別だ」

カイは振り返る。

「これは、レイラ副長がサポートしないとできない。
 密度の調整が必要だからな」

レイラが補足する。

「ヤマト、あなたの密度は、第4密度に上昇したばかり。
 ジャンプの制御は、私がサポートするわ」

ヤマトは深く頷いた。

カイは、操作パネルを指しながら言う。

「それから──重要なことがある。
 第5密度のType Ⅳ文明技術は封印(ロック)されている」

ヤマトは眉をひそめた。

「封印(ロック)……?」

「そうだ」

カイは真剣な表情になる。

「もし、この技術が他文明に流出すれば、必ず戦争に転用される。
 それらを兵器として使えば、銀河が崩壊する危険がある。
 だから、アステリア号の機能は、“あえて”グレードダウンされている」

ヤマトは理解した。

「……銀河の秩序を守るためか」

「その通りだ」

カイは頷く。

「そして、お前さんが、扱える密度に合わせるためでもある。
 第4密度に覚醒したばかりのお前さんには、Type Ⅳ技術はまだ早い」

ヤマトは胸に手を当てた。

自分の成長と限界を、静かに受け止める。

レイラがヤマトの前に立つ。

「ヤマト。私はあなたの副長として同船する。
 銀河航行、ワープ・ジャンプ──などは、私がサポートするわ」

ヤマトは深く頭を下げた。

「レイラ副長……頼りにしてるよ」

レイラは微笑む。

「任せて。あなたは艦長として、進むべき方向を示して」

全ての準備が整った。

アステリア号のブリッジの扉が開き、ヤマトは艦長席に座る。

胸の奥で、静かにメルカバが回転する。

第4密度の感覚が、世界を柔らかく照らしていた。

レイラが告げる。

「艦長(キャプテン)、出港準備完了です」

ヤマトは前方の光の海を見つめ、ゆっくりと命じた。

「……アステリア号、発進する」

船体が静かに浮上し、ルーメリアの光の都市が遠ざかっていく。

宇宙港上空から惑星ルーメリアの軌道上にジャンプ。

「さあ、次はどこに行きましょうか?艦長」

「ここから、近い文明世界は?」

「プレアデスです」

「では、そこへ行こう!」

「了解!」

こうして──ヤマトの本格的な銀河の旅が始まった。

つづく

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