創作童話・絵本

七色物語 プロローグ
遠い昔、この世界には七つの色が宿っていたという。
それは虹の光ではなく、人々の魂に宿る七つの原初の輝きだった。赤は勇気、橙は情熱、黄は叡智、緑は生命、青は静寂、藍は神秘、
そして、最後の紫は
——永遠に失われてはならない、希望そのもの。
しかし、その輝きは、長い年月の中で薄れ、忘れ去られていった。そして今、再び七色の光が目覚めようとしている。
それは救済のためか、それとも破滅のためか。誰も知らない。ある小さな王国、エルムハートの辺境の町に、一人の少年がいた。
名をカールスという。まだ十二歳にも満たない幼い体に、大きな夢を抱いていた。
「おれは、宮殿騎士になるんだ」
そう口にしては、木の枝を剣に見立てて毎日振り回していた。
その日も、いつものように、町はずれの丘で剣の稽古をしていたカールスは、
遠くの空に黒い雲が渦を巻くのを見た。
雷鳴が轟き、まるで世界が裂けるような不気味な音が響いた。同じ頃、王都の白亜の宮殿では、悲劇が完結しようとしていた。
王は愛する一人娘の姫を、決して手放せなかった。だが、その代償はあまりに大きかった。
何百年も前から転生を繰り返し、若き肉体を求めて生き続ける魔女イゼベル。
彼女は禁断の魔力を王に与え、国を繁栄させる代わりに、姫を差し出す契約を結ばせていた。王は約束を破った。
そして、魔女の怒りは、黒い嵐となって宮殿を襲った。
勇敢な宮殿騎士たちは次々と倒れ、
最後の抵抗も虚しく、姫は魔女の呪文によって小さな青い小鳥へと姿を変えられた。イゼベルは笑いながらその小鳥を籠に収め、闇の彼方へと消えていった。
宮殿に残されたのは、傷つき、膝をついた王ただ一人。玉座の間は血と焦げた匂いに満ち、かつての栄光は跡形もなく崩れ落ちていた。
その時、息を切らして駆け込んできた少年がいた。
カールスだった。
「お、王様……! お城が……!」王はゆっくりと顔を上げた。
「……カールスか。来てくれたのか」少年は倒れた騎士たちの亡骸を見て、言葉を失った。
王は震える手で、胸にかけていた古い紋章の盾を外した。
それは王家に代々伝わる、最も高貴な騎士にのみ与えられる
「七色の守護盾」——七つの聖なる色が淡く輝く、伝説の聖具だった。
「これを……お前に預ける。お前が、この国の最後の希望だ」カールスは戸惑いながらも、両手で盾を受け取った。
触れた瞬間、盾の表面に七つの光が一瞬だけ走った。
それは、まるで少年の心に語りかけるように。「姫は魔女イゼベルに連れ去られた。
だが、彼女はまだ生きている。
小鳥の姿で、魂は囚われている。
お前が七つの聖具を集め、三聖獣の加護を得たとき、
初めて魔女に立ち向かえる」
王の声は弱々しかったが、言葉には力が宿っていた。「おれ……おれに、できるのかな……」
「頼んだぞ」
王は最後に微笑んだ。
「七色の希望の光を託す」
その言葉を最後に、王は静かに目を閉じた。カールスは王様の言葉を胸に、勇気を出し、盾を背に担ぎ歩き出した。
外では嵐が去り、夜空に一本の虹がかかっていた。
まだ小さな背中が、遠くの闇に向かって進んでいく。
七つの聖具を求め、三聖獣のしもべを従え、
そして最後に、魔女イゼベルと対峙する日まで、七色の物語は、ここから始まる。
子供用プロローグ
むかしむかし、ある小さな国にカールスという男の子がいました。
カールスはお城の騎士になりたくて、毎日練習していました。ある日、悪い魔女イゼベルがお城を襲いました。
魔女は王様に約束を破られたと怒って、
お姫様を青い小鳥に変えて連れ去ってしまいました。お城の騎士さんたちはみんな倒れて、王様だけが残りました。
カールスがお城に着いたとき、王様はカールスに言いました。
「カールス、お前がこの国の最後の希望だ。
この七色が光る盾を持って、お姫様を助けてくれ」カールスは盾を受け取りました。
盾には七つのきれいな色が輝いていて、カールスは元気になりました。カールスは旅に出ます。
七つの宝物(聖具)を見つけて、三つの優しい聖獣のお友達を作って、
魔女イゼベルを倒し、お姫様を助けるために!カールスはがんばります。
お姫様は小鳥の姿で待っています。
七色の物語は、ここから始まります。