SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第40話

銀河より愛をこめて!

火星宙域。

燃え広がる銀河大戦の中心で、二体の騎士が激突していた。

ハヤトのブレードナイト。

そして、帝王キング・バアルのダークナイト・メンデル。

宇宙空間に閃光が走り、剣と剣がぶつかり合う。

衝撃波が周囲の艦隊を吹き飛ばすほどの激しい戦いだった。

両者の戦いは、一進一退の攻防が続いていた。

ハヤトは歯を食いしばる。

「しかたねえな…」

その言葉に、ガイアが慌てて叫んだ。

「キャプテン、いけません! また、あれを使うことだけは…」

しかし、ハヤトの決意は固かった。

「ガイア、やらなきゃ俺たちは負ける…」

彼は宇宙の闇を見据えた。

そこには、地球も銀河も飲み込もうとする帝王の姿がある。

「そして、人類の未来もない…」

拳を握り締める。

「やるしかないんだ!」

ブレードナイトの装甲が輝いた。

「デストラクションフラッシュ!!」

次の瞬間――

眩しい閃光が宇宙を覆った。

爆発的な光エネルギーが、ダークナイト・メンデルを包み込む。

宇宙戦場の全てが、白く染まった。

やがて、光が消えたとき――

ダークナイト・メンデルは消滅したかに見えた。

しかし――

暗黒の騎士は無傷で、そこに立っていた。

三種の神器の力が、すべての攻撃を防いでいたのだ。

帝王キング・バアルは、ゆっくりと腕を広げた。

次の瞬間。

三種の神器が、黒い光となって帝王の身体へ吸い込まれていく。

装甲がさらに変形し、巨大な暗黒武装が形成された。

「これで最後だ! ブレードナイト!」

暗黒の笑いが宇宙に響く。

「我こそ、帝王なり!」

「ゲハハハ…!」

帝王は、勾玉コスモストーンの力を解放した。

宇宙空間に巨大なブラックホールが生まれる。

その重力は凄まじく、帝国軍の艦隊までも巻き込みながら飲み込んでいった。

次の瞬間――

ブレードナイトの装甲が崩壊した。

融合が強制解除されたのだ。

ハヤトは宇宙空間へ吹き飛ばされた。

ガイアは大破し、そのコアが砕け散る。

そして――

コスモクリスタルが、帝王キング・バアルの手に渡った。

帝王は両腕を広げる。

ブラックホールは、さらに巨大化した。

それは、まるで宇宙そのものを飲み込もうとしているかのようだった。

「ハヤト!!」

「ハヤト!!」

仲間たちの叫びが、ハヤトの脳に響く。

帝国艦隊の指揮官も驚愕していた。

「なんだ、あれは? どういうことだ?」

その時だった。

新たな艦隊がワープアウトしてきた。

ディアマンテスとデスパンドラの艦隊だった。

デスパンドラの旗艦が、宇宙に漂うハヤトを回収に向かう。

ディアマンテスは、メフィストスへ通信を送った。

「メフィストス、これが帝王キング・バアルの正体だ!」

暗黒の帝王が作り出したブラックホールを指し示す。

「完全体になった今では、我々も暗黒に飲み込まれてしまう!」

メフィストスは震える声で言った。

「なんということだ…」

そして、決断した。

「ハイデビロン帝国全軍に告げる! 帝王キング・バアルの暴走を阻止せよ!」

しかし、ディアマンテスは首を振る。

「メフィストス、無駄だ!」

「帝王を封印していた三種の神器が奪われ、コスモクリスタルも奪われてしまった」

メフィストスは言葉を失った。

「しかし…」

宇宙は、すでに崩壊寸前だった。

その頃。

ダイダロス号は、宇宙に放り出されたハヤトへ急行していた。

シルビアが救助艇で彼を回収する。

意識を失ったハヤトを抱きしめ、必死に叫んだ。

「ハヤト! ハヤト! ハヤト!」

「起きて! 死なないで!」

彼女の声は震えていた。

堪えていた涙があふれる。

シルビアはハヤトを包み込み、静かに祈った。

そして、つぶやいた。

「ハヤト、あなたは、私に、辛いときこそ歌うようにと教えてくれたわね…」

涙をぬぐう。

「最後に、私の思いをあなたに伝えます…」

シルビアは、歌い始めた。

その歌声は、宇宙に広がっていった。

澄んだ旋律は銀河を駆け抜け、すべての艦隊へ届いた。

戦場にいたすべての者が、思わず動きを止める。

砲撃が止まり、宇宙は静寂に包まれた。

その歌は――

帝王キング・バアルにも届いた。

暗黒騎士の動きが止まる。

次の瞬間。

帝王の身体から三種の神器が放出された。

さらに、コスモクリスタルも放出される。

光の結晶はゆっくりと漂い、ハヤトの身体の中へ吸い込まれていった。

その瞬間。

ハヤトの指が動いた。

「どうした…シルビア…」

ゆっくりと目を開く。

「俺は、絶対に死なないと言ったはずだぜ!」

「ハヤト!」

シルビアは涙をこぼした。

「よかった! 目が覚めたのね…」

その時だった。

ハヤトの身体が光に包まれた。

身体の装甲が再構築される。

それは、白く輝く騎士の姿だった。

「こ、これは…?」

シルビアは、驚きの声を上げる。

「その姿は…」

彼女の惑星の伝説。

「私たちの惑星に伝わる救世主、伝説の聖騎士!」

「ホワイトナイト・パラディン!」

ハヤトは拳を握った。

「なんか、力が漲ってきたぜ!」

そして、帝王を見据える。

「帝王キング・バアル、とにかく、あいつをぶっ飛ばしにいかないと、
 人類、そして、お前たち異星人にも未来はない!」

振り返る。

「行くぜ! シルビア!」

「ラジャー!」

ハヤトは、ダイダロス号の外へ飛び出した。

体内のコスモクリスタルが共鳴する。

破壊されたガイアの残骸が光に包まれた。

その残骸は再構築され、白い馬型の宇宙騎馬体へ変化する。

ハヤトのもとへ駆け寄った。

さらに、三種の神器も集まり、聖騎士パラディンの武器となった。

聖騎士パラディンは、ブラックホールへ突進した。

勾玉の力で、その重力を封じ込める。

そして――

宇宙聖剣エクスカリバーが輝いた。

一閃。

帝王キング・バアルは、真っ二つに引き裂かれた。

暗黒の帝王は、断末魔とともに消滅した。

ブラックホールは消え、宇宙に静寂が戻った。

こうして――

ハイデビロン帝国は、銀河連邦へ無条件降伏した。

長きにわたり続いた銀河大戦は、ついに終結を迎えたのである。

そして、宇宙には、再び平和が訪れた。

第三部 完

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