銀河より愛をこめて!
火星宙域。
燃え広がる銀河大戦の中心で、二体の騎士が激突していた。
ハヤトのブレードナイト。
そして、帝王キング・バアルのダークナイト・メンデル。
宇宙空間に閃光が走り、剣と剣がぶつかり合う。
衝撃波が周囲の艦隊を吹き飛ばすほどの激しい戦いだった。
両者の戦いは、一進一退の攻防が続いていた。
ハヤトは歯を食いしばる。
「しかたねえな…」
その言葉に、ガイアが慌てて叫んだ。
「キャプテン、いけません! また、あれを使うことだけは…」
しかし、ハヤトの決意は固かった。
「ガイア、やらなきゃ俺たちは負ける…」
彼は宇宙の闇を見据えた。
そこには、地球も銀河も飲み込もうとする帝王の姿がある。
「そして、人類の未来もない…」
拳を握り締める。
「やるしかないんだ!」
ブレードナイトの装甲が輝いた。
「デストラクションフラッシュ!!」
次の瞬間――
眩しい閃光が宇宙を覆った。
爆発的な光エネルギーが、ダークナイト・メンデルを包み込む。
宇宙戦場の全てが、白く染まった。
やがて、光が消えたとき――
ダークナイト・メンデルは消滅したかに見えた。
しかし――
暗黒の騎士は無傷で、そこに立っていた。
三種の神器の力が、すべての攻撃を防いでいたのだ。
帝王キング・バアルは、ゆっくりと腕を広げた。
次の瞬間。
三種の神器が、黒い光となって帝王の身体へ吸い込まれていく。
装甲がさらに変形し、巨大な暗黒武装が形成された。
「これで最後だ! ブレードナイト!」
暗黒の笑いが宇宙に響く。
「我こそ、帝王なり!」
「ゲハハハ…!」
帝王は、勾玉コスモストーンの力を解放した。
宇宙空間に巨大なブラックホールが生まれる。
その重力は凄まじく、帝国軍の艦隊までも巻き込みながら飲み込んでいった。
次の瞬間――
ブレードナイトの装甲が崩壊した。
融合が強制解除されたのだ。
ハヤトは宇宙空間へ吹き飛ばされた。
ガイアは大破し、そのコアが砕け散る。
そして――
コスモクリスタルが、帝王キング・バアルの手に渡った。
帝王は両腕を広げる。
ブラックホールは、さらに巨大化した。
それは、まるで宇宙そのものを飲み込もうとしているかのようだった。
「ハヤト!!」
「ハヤト!!」
仲間たちの叫びが、ハヤトの脳に響く。
帝国艦隊の指揮官も驚愕していた。
「なんだ、あれは? どういうことだ?」
その時だった。
新たな艦隊がワープアウトしてきた。
ディアマンテスとデスパンドラの艦隊だった。
デスパンドラの旗艦が、宇宙に漂うハヤトを回収に向かう。
ディアマンテスは、メフィストスへ通信を送った。
「メフィストス、これが帝王キング・バアルの正体だ!」
暗黒の帝王が作り出したブラックホールを指し示す。
「完全体になった今では、我々も暗黒に飲み込まれてしまう!」
メフィストスは震える声で言った。
「なんということだ…」
そして、決断した。
「ハイデビロン帝国全軍に告げる! 帝王キング・バアルの暴走を阻止せよ!」
しかし、ディアマンテスは首を振る。
「メフィストス、無駄だ!」
「帝王を封印していた三種の神器が奪われ、コスモクリスタルも奪われてしまった」
メフィストスは言葉を失った。
「しかし…」
宇宙は、すでに崩壊寸前だった。
その頃。
ダイダロス号は、宇宙に放り出されたハヤトへ急行していた。
シルビアが救助艇で彼を回収する。
意識を失ったハヤトを抱きしめ、必死に叫んだ。
「ハヤト! ハヤト! ハヤト!」
「起きて! 死なないで!」
彼女の声は震えていた。
堪えていた涙があふれる。
シルビアはハヤトを包み込み、静かに祈った。
そして、つぶやいた。
「ハヤト、あなたは、私に、辛いときこそ歌うようにと教えてくれたわね…」
涙をぬぐう。
「最後に、私の思いをあなたに伝えます…」
シルビアは、歌い始めた。
その歌声は、宇宙に広がっていった。
澄んだ旋律は銀河を駆け抜け、すべての艦隊へ届いた。
戦場にいたすべての者が、思わず動きを止める。
砲撃が止まり、宇宙は静寂に包まれた。
その歌は――
帝王キング・バアルにも届いた。
暗黒騎士の動きが止まる。
次の瞬間。
帝王の身体から三種の神器が放出された。
さらに、コスモクリスタルも放出される。
光の結晶はゆっくりと漂い、ハヤトの身体の中へ吸い込まれていった。
その瞬間。
ハヤトの指が動いた。
「どうした…シルビア…」
ゆっくりと目を開く。
「俺は、絶対に死なないと言ったはずだぜ!」
「ハヤト!」
シルビアは涙をこぼした。
「よかった! 目が覚めたのね…」
その時だった。
ハヤトの身体が光に包まれた。
身体の装甲が再構築される。
それは、白く輝く騎士の姿だった。
「こ、これは…?」
シルビアは、驚きの声を上げる。
「その姿は…」
彼女の惑星の伝説。
「私たちの惑星に伝わる救世主、伝説の聖騎士!」
「ホワイトナイト・パラディン!」
ハヤトは拳を握った。
「なんか、力が漲ってきたぜ!」
そして、帝王を見据える。
「帝王キング・バアル、とにかく、あいつをぶっ飛ばしにいかないと、
人類、そして、お前たち異星人にも未来はない!」振り返る。
「行くぜ! シルビア!」
「ラジャー!」
ハヤトは、ダイダロス号の外へ飛び出した。
体内のコスモクリスタルが共鳴する。
破壊されたガイアの残骸が光に包まれた。
その残骸は再構築され、白い馬型の宇宙騎馬体へ変化する。
ハヤトのもとへ駆け寄った。
さらに、三種の神器も集まり、聖騎士パラディンの武器となった。
聖騎士パラディンは、ブラックホールへ突進した。
勾玉の力で、その重力を封じ込める。
そして――
宇宙聖剣エクスカリバーが輝いた。
一閃。
帝王キング・バアルは、真っ二つに引き裂かれた。
暗黒の帝王は、断末魔とともに消滅した。
ブラックホールは消え、宇宙に静寂が戻った。
こうして――
ハイデビロン帝国は、銀河連邦へ無条件降伏した。
長きにわたり続いた銀河大戦は、ついに終結を迎えたのである。
そして、宇宙には、再び平和が訪れた。
第三部 完