SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第36話

捕縛

ダイダロス号は、静かな宇宙空間を進んでいた。

その航路の先には、ハイデビロン帝国の本拠地――
コロニーNo.11アクエリオンが存在している。

巨大コロニーの重力圏は、すでに目前に迫っていた。

ブリッジでは、緊張した空気が漂っている。

「さて、もう帝国のコロニーは目と鼻の先だ。
 ここからは小型艇シンザンで潜入する」

その時だった。

「キャプテン、右舷前方より、多数の艦隊がこちらに向かって来ています」

警告の声と同時に、スクリーンに無数の光点が浮かび上がった。

それは、明らかに敵艦隊の反応だった。

「なんだと…? 奴っこさん、俺たちのこと、とっくに気付いてたんだな…」

「…あれは…メフィストス艦隊…」

その言葉に、ブリッジの空気が一瞬凍りつく。

「ハヤト、どうするの?」

わずかな沈黙の後、ハヤトは低く言い放った。

「やるしかないだろ…ガイア、いくぞ!」

次の瞬間、ハヤトの身体は光に包まれた。

装甲が展開し、宇宙戦闘形態――
ブレードナイトへと変化する。

漆黒の宇宙を裂きながら、ブレードナイトは敵艦隊へ突入した。

高速機動で敵戦艦の砲撃をかわしながら、エクステンドランサーを振るう。

鋭い閃光が宇宙を切り裂き、敵戦艦が次々と爆発していった。

だが――

何かが違う。

ハヤトは、戦いながら違和感を覚えていた。

その時、前方の宇宙に一機の機体が現れた。

それは――

ブレードナイトと酷似した、黒い装甲のアステロイドバトラーだった。

「あれは…?」

「…あれは、盗まれたアステロイドバトラー・ヘリオスですね」

「そういうことか…」

黒いナイトがゆっくりと接近する。

宇宙の闇の中で、二つの騎士型機体が対峙した。

互いに剣を構え、静かに相手の隙を探る。

やがて、黒いナイトが口を開いた。

「私の名は、エラントラ。そして、この姿はダークナイト・メンデルだ。
 私とお前、どちらが強いか、決着をつけようではないか…」

「ああ、いいだろう。望むところだ」

「キャプテン、敵の挑発にのってはいけません」

「しかし、こいつを倒さないと…」

次の瞬間――

二つの機体が同時に動いた。

剣と剣がぶつかり合い、激しい火花が宇宙に散る。

超高速の斬撃が何度も交差し、凄まじい攻防が繰り広げられた。

しかし、その戦闘の裏で、別の事態が進行していた。

メフィストス艦隊が、ダイダロス号を完全に包囲していたのだ。

「しまった…これが狙いだったのか…」

ダークナイト・メンデルは、ゆっくりと腕を掲げた。

その手には、黄金に輝く剣が握られていた。

三種の神器――
『王者の宝剣』

「これで、最後だ!」

「あれは…」

その一瞬の隙だった。

メンデルは一気に踏み込み、宝剣を振り抜いた。

宇宙を引き裂くような眩い閃光。

光の刃が一直線に走る。

衝撃と共に、ブレードナイトのエクステンドランサーが粉々に砕け散った。

さらに、強烈な衝撃波が機体を吹き飛ばす。

「ぐっ――!」

ハヤトの意識が暗転した。

動かなくなったブレードナイトに、帝国軍の回収部隊が群がる。

ゲオルギオス将軍のハンガーン機攻部隊だった。

「メフィストス、そちらは…?」

「閣下、こちらも作戦成功です」

「よし、では、帰還する」

「はい…」

こうして――
スターフォースは完全に捕らえられた。

ハヤトは強制的に融合を解除され、帝国の牢獄へと投げ込まれた。

ガイアは、ラスプーシキン将軍の分析班へと引き渡される。

そして、同時に捕らえられたシルビアとデスパンドラは、
キング・バアルの神殿へと連れて行かれた。

巨大な神殿の内部には、すでにディアマンテスが立っていた。

「来たか…」

その前に、エラントラがゆっくりと歩み出る。

「さあ、お前の『運命の勾玉』を渡せ!」

強引に奪い取られた勾玉が、エラントラの手の中で妖しく輝く。

続けて、冷たい声が響いた。

「お前の『智の大盾鏡』も渡せ!」

「なんだと…きさま…」

「これからは、私が王になる。やれ!」

その瞬間、ゲオルギオス将軍が剣を抜き、ディアマンテスの喉元へ突きつけた。

抵抗は許されない。

静寂の中で、エラントラは高らかに笑った。

「これで、私が、この銀河の王になる。はっははははは…!」

ハヤトたちは、ハイデビロン帝国軍に完全に捕らえられてしまった。

そして、シルビアの『運命の勾玉』までも奪われてしまう。

エラントラの狙いは、ただ一つ。

三種の神器を揃え、帝王キング・バアルを復活させること。

それは――
銀河そのものを滅ぼしかねない、最悪の力だった。

気を失ったまま、牢に閉じ込められたハヤト。

銀河は今、消滅という最悪の未来へと進もうとしていた。

つづく

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