SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第28話

新たなる戦いの序曲

人工衛星都市国家コロニーNo.9、サジタリオン首長国。

蒼く輝く恒星を周回するそのコロニーは、戦火とは無縁の理想郷のように静謐だった。

バイオヒューマノイド技術と量子工学の最先端を誇る中立国家――
だが今、その地下深部では、銀河の未来を左右する計画が進行していた。

ダイダロス号の艦橋から降り立ったハヤトを迎えたのは、見覚えのある二人の科学者だった。

「博士……」

「待っていたよ、ハヤトくん」

クロッペンシュタイン博士が、白衣の裾を揺らしながら微笑む。

「元気になったようだね」

ジンダイジ博士も穏やかに頷いた。

「それから、こちらはウェンリー博士だ」

無駄のない動きの女性科学者が軽く会釈する。

「よろしく。ガイアの設計主任よ」

ハヤトは隣に立つガイアを見た。
無機質な瞳の奥に、かすかな光が宿る。

「アンナ司令官から聞いていると思うが」

クロッペンシュタイン博士の声が低くなる。

「アステロイドバトラー計画を、いよいよ実行段階に移す。
ダイダロス号とガイアを改造する。その間、君はシミュレーション訓練を受けてもらう」

「了解しました」

ハヤトは迷いなく答えた。

守れなかった命。
背負った責任。

彼の中で、それらは既に決意へと変わっていた。

一カ月後。

重力制御室の中央に、巨大な円筒装置が鎮座していた。
融合カプセルユニット――物質融合変換装置。

「これが、アステロイドバトラーの中枢だ」

クロッペンシュタイン博士が説明する。

「内部で人間とロボットの融合を行い、サイバロイドへと装甲変化する。
これを“サイバーフュージョン・セットアップ”と呼ぶ」

「君の心身をガイアと融合させ、強化新造人間として再構築するのだ」

ジンダイジ博士が続ける。

「ただし、負担は大きい。装甲時間は限られる」

ウェンリー博士が静かに言った。

「ガイアは、もともとハイデビロン帝国軍団に対抗するための秘密兵器。
その真の力を解放する時が来たの」

クロッペンシュタイン博士は、ハヤトを真っ直ぐ見据えた。

「君は銀河騎士――ブレードナイトとして戦うのだ!」

ハヤトは頷いた。

「やります」

その時、警報が鳴り響く。

「アンナ司令官から入電です」

ガイアの声が響く。

『敵艦隊が火星に向かっているわ。ハヤトの準備は?』

「こちらから出撃させる。耐えてくれ」

『了解』

通信が切れる。

「博士、発進します!」

「ああ、頼んだよ!」

ダイダロス号は光速航行に入り、火星へ向かう。

「アンナ司令官、状況は?」

『新型機に苦戦しているわ。シルビアが以前搭乗していた機体と同型よ』

「それは“サングーン”と呼ばれるデストロイドです」

シルビアが補足する。

「シルビア、舵を頼む。ガイア、サイバーフュージョン・セットアップだ!」

「了解。キャプテン」

融合カプセルが閉じる。

光。

衝撃。

意識が拡張される。

ハヤトの肉体と精神が、ガイアの量子演算中枢と結合する。

骨格は強化装甲へ、神経は光学回路へと変換される。

銀色の装甲を纏った騎士が、ダイダロス号の船首に立つ。

銀河騎士ブレードナイト、誕生。

右手に召喚されたのは、光槍エクステンドランサー。

「行くぞ!」

ドクト級、トンへ級を斬り裂きながら突進する。

サングーンが、デストロイド形態へ変形。

「シルビア、バトロイドモードだ!」

ダイダロス号が、巨大ロボット形態へ変形する。

「ミラージュ・ステルス!」

ブレードナイトの姿が消える。

次の瞬間、死角からの突撃。

エクステンドランサーが、サングーンの胸部炉心を貫いた。

爆散。

「戦艦モードに戻せ! 艦隊を叩く!」

ダイダロス号が再変形し、敵艦隊へ肉薄。

「メガ反重力粒子砲、発射!」

白光が宇宙を裂く。

敵艦隊は一瞬で蒸発した。

『ハヤト、よくやったわ』

アンナ司令官の声が届く。

「ブレードナイトの力……すごい」

だが、ハヤトは知っている。

この力は、守るためにある。

ダイスケとトミーの無念を胸に。

銀河騎士ブレードナイト。

新たなる戦いの序曲が、いま鳴り響いた。

銀河大戦は、次の段階へと進む。

つづく

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