ドラゴンキャリアー爆破指令!
ハイデビロン帝国旗艦・深紅の戦略中枢。
巨大な戦術ホログラムに映るのは、
未だに、健在な《プリンシパリティ号》と、三機の超重戦闘マシン。その機動は予測アルゴリズムを逸脱し、帝国艦隊の包囲網に楔を打ち込み続けていた。
上級女将軍デスパンドラの眉間に、わずかな苛立ちが走る。
「おのれ……この規模の艦隊をもってしても、まだ倒せぬとは」
三大将校が、敗れた理由。
それは、単純な兵力ではない。
“意志”だった。
背後から、冷ややかな声が落ちる。
「お前の力をもってしても、この有様か」
三神官エラントラ。
彼の視線は、凍てつく恒星のようだった。
「いえ……私の力は、これから」
「ならば、証明してみせよ」
短い命令。
デスパンドラは、即座に跪く。
「ははっ」
エラントラの指が、モニタの星図をなぞる。
「ちょうどよい。敵の一機が孤立している。まずは、あれを破壊せよ」
拡大されたのは、ドラゴンキャリアー。
旗艦防衛の要。
重支援機。
そして――スターフォースの柱。
「艦隊の第七戦隊、第九戦隊を抽出。
目標ドラゴンキャリアー。集中砲火にて爆破せよ」十数隻の戦艦や駆逐艦が陣形を離脱し、鋭い矢のように進路を変えた。
一方、前線の戦場。
ドラゴンキャリアーは、プリンシパリティ号前面で防壁となり、重粒子砲を連射していた。
「来いよ……まとめて相手してやる」
ダイスケは、歯を食いしばる。
その時、警告アラートが赤く染まった。
――敵艦隊、急速接近。
「艦長、敵の一部艦隊が、ダイスケの方へ向かっています」
ガイアの報告。
「ダイスケ、聞こえる?」
応答なし。
「ダイスケ!」
「……」
「妨害電波を確認。通信遮断状態です」
ブリッジに緊張が走る。
「なんてこと……艦をダイスケに近づけて」
「艦長、それでは、本艦が危険に」
リサの声は震えていた。
「それでもよ。彼を失うわけにはいかない」
アンナ艦長の瞳は揺らがない。
リサは深く息を吸い込む。
「そうですね……彼らは“希望”ですものね。進路変更、ドラゴンキャリアーへ」
プリンシパリティ号が、推進炉を最大出力へ。
巨艦が敵陣へ突入する。
「おい、ハヤト、プリンシパリティ号が動いてるぞ」
「戦ってるんだ。当たり前だろ」
「違う。ダイスケの方だ」
ハヤトは、モニタを拡大する。
十数隻の敵艦が、一直線にダイスケを包囲しつつあった。
「……集中攻撃か」
「さっさと片付けて行かないと、あいつ、やばいぞ」
「分かってる」
二人の前に立ちはだかる最後の機械獣。
装甲を再生させながら突進してくる。
「トミー、同時にいくぞ」
「オー!」
ハヤトの超重砲が臨界出力へ到達。
トミーの機体が高周波ブレードを最大振動数へ。
「ブレイク・インパクト!」
「フルドライブ・スラッシュ!」
閃光が交差し、機械獣の中枢コアを貫いた。
爆発が宇宙を白く染める。
「撃破確認!」
「行くぞ、ダイスケ!」
二機は最大加速。
その頃、ドラゴンキャリアーは四方から包囲されていた。
敵艦の主砲が、一斉に充填を開始する。
妨害電波で孤立。
支援なし。
「……なるほど、俺一機に賭けたか」
ダイスケは、操縦桿を握り直す。
「いいぜ。簡単にはやられねえ」
敵艦隊から、破壊命令が発令される。
――ドラゴンキャリアー爆破指令。
無数の光が、一斉に収束しようとした、その瞬間。
遠方から、二つの光点が急接近する。
「待たせたな!」
ハヤトの声。
「派手にやってんじゃねえか!」
トミーの機体が敵戦列に突入する。
同時に、プリンシパリティ号の主砲が閃いた。
三方向からの反撃。
戦場は、再び均衡を取り戻そうとしていた。
だが――
敵旗艦のエネルギー反応が急上昇する。デスパンドラの瞳が妖しく光る。
「まだ、終わらぬ……次の一手で、必ず仕留める」
銀河大戦は、さらなる激化へ。
ドラゴンキャリアーは生き残れるのか。
それとも――。
つづく