SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第22話

ドラゴンキャリアー爆破指令!

ハイデビロン帝国旗艦・深紅の戦略中枢。

巨大な戦術ホログラムに映るのは、
未だに、健在な《プリンシパリティ号》と、三機の超重戦闘マシン。

その機動は予測アルゴリズムを逸脱し、帝国艦隊の包囲網に楔を打ち込み続けていた。

上級女将軍デスパンドラの眉間に、わずかな苛立ちが走る。

「おのれ……この規模の艦隊をもってしても、まだ倒せぬとは」

三大将校が、敗れた理由。

それは、単純な兵力ではない。

“意志”だった。

背後から、冷ややかな声が落ちる。

「お前の力をもってしても、この有様か」

三神官エラントラ。

彼の視線は、凍てつく恒星のようだった。

「いえ……私の力は、これから」

「ならば、証明してみせよ」

短い命令。

デスパンドラは、即座に跪く。

「ははっ」

エラントラの指が、モニタの星図をなぞる。

「ちょうどよい。敵の一機が孤立している。まずは、あれを破壊せよ」

拡大されたのは、ドラゴンキャリアー。

旗艦防衛の要。

重支援機。

そして――スターフォースの柱。

「艦隊の第七戦隊、第九戦隊を抽出。
目標ドラゴンキャリアー。集中砲火にて爆破せよ」

十数隻の戦艦や駆逐艦が陣形を離脱し、鋭い矢のように進路を変えた。

一方、前線の戦場。

ドラゴンキャリアーは、プリンシパリティ号前面で防壁となり、重粒子砲を連射していた。

「来いよ……まとめて相手してやる」

ダイスケは、歯を食いしばる。

その時、警告アラートが赤く染まった。

――敵艦隊、急速接近。

「艦長、敵の一部艦隊が、ダイスケの方へ向かっています」

ガイアの報告。

「ダイスケ、聞こえる?」

応答なし。

「ダイスケ!」

「……」

「妨害電波を確認。通信遮断状態です」

ブリッジに緊張が走る。

「なんてこと……艦をダイスケに近づけて」

「艦長、それでは、本艦が危険に」

リサの声は震えていた。

「それでもよ。彼を失うわけにはいかない」

アンナ艦長の瞳は揺らがない。

リサは深く息を吸い込む。

「そうですね……彼らは“希望”ですものね。進路変更、ドラゴンキャリアーへ」

プリンシパリティ号が、推進炉を最大出力へ。

巨艦が敵陣へ突入する。

「おい、ハヤト、プリンシパリティ号が動いてるぞ」

「戦ってるんだ。当たり前だろ」

「違う。ダイスケの方だ」

ハヤトは、モニタを拡大する。

十数隻の敵艦が、一直線にダイスケを包囲しつつあった。

「……集中攻撃か」

「さっさと片付けて行かないと、あいつ、やばいぞ」

「分かってる」

二人の前に立ちはだかる最後の機械獣。

装甲を再生させながら突進してくる。

「トミー、同時にいくぞ」

「オー!」

ハヤトの超重砲が臨界出力へ到達。

トミーの機体が高周波ブレードを最大振動数へ。

「ブレイク・インパクト!」

「フルドライブ・スラッシュ!」

閃光が交差し、機械獣の中枢コアを貫いた。

爆発が宇宙を白く染める。

「撃破確認!」

「行くぞ、ダイスケ!」

二機は最大加速。

その頃、ドラゴンキャリアーは四方から包囲されていた。

敵艦の主砲が、一斉に充填を開始する。

妨害電波で孤立。

支援なし。

「……なるほど、俺一機に賭けたか」

ダイスケは、操縦桿を握り直す。

「いいぜ。簡単にはやられねえ」

敵艦隊から、破壊命令が発令される。

――ドラゴンキャリアー爆破指令。

無数の光が、一斉に収束しようとした、その瞬間。

遠方から、二つの光点が急接近する。

「待たせたな!」

ハヤトの声。

「派手にやってんじゃねえか!」

トミーの機体が敵戦列に突入する。

同時に、プリンシパリティ号の主砲が閃いた。

三方向からの反撃。

戦場は、再び均衡を取り戻そうとしていた。

だが――
敵旗艦のエネルギー反応が急上昇する。

デスパンドラの瞳が妖しく光る。

「まだ、終わらぬ……次の一手で、必ず仕留める」

銀河大戦は、さらなる激化へ。

ドラゴンキャリアーは生き残れるのか。

それとも――。

つづく

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