SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第12話

食人花ジゴク草

アトランティック連邦地域に位置するベネルクス王国は、
「花の王国」と呼ばれていた。

四季を通じて咲き誇る無数の花々。
王国の経済と文化は、すべて植物と共にあった。

――その国で、異変が起きた。

最近、首都マースリヒトを中心に、
若い女性ばかりが忽然と姿を消すという事件が相次いでいた。

痕跡はなく、争った形跡もない。

ただ、彼女たちが最後に目撃された場所の近くには、
必ず奇妙な花が咲いていたという。

マースリヒト市街・調査行動

ハヤト、トミー、リサの三人は、市内を歩きながら情報を集めていた。

「……それにしても妙だよな」

トミーが、王立植物園の温室を見渡しながら言った。

「失踪者は全員、若い女性だけ。偶然にしては偏りすぎてる」

「そうね」

リサは花壇の前でしゃがみ込み、土壌を指で軽くすくった。

「ただの食人植物って線は薄いわ。
狙っている……そう考えるべきね」

人々は、その花をこう呼んでいた。

――ジゴク草。

近づくと甘い香りを放ち、
気づけば人を飲み込むという、恐怖の花。

「ここは……私が囮になる」

リサの言葉に、ハヤトは即座に反対した。

「危険すぎる!」

「そうだよ、リサ!」

だが、彼女は微笑んだ。

「大丈夫。名案があるの」
「……うふっ」

その微笑みの裏にある覚悟を、
その時の二人は、まだ理解していなかった。

ハイデビロン帝国 地球戦略要塞

妖艶な笑みを浮かべ、チェムラヒム大佐はモニターを眺めていた。

「将軍、『花の地獄化計画』は順調よぉ」

「世界一の花の王国に、ジゴク草の種をばら撒いたわ。
あとは……育つのを待つだけ」

シュルキーレフ将軍は、少し顔を引きつらせた。

「……余計なことはするなよ」

「やぁねぇ。あたしに、何か期待してるんでしょう?」

「……任せる」

チェムラヒムは、満足そうに微笑んだ。

リサは、バイクで雨の夜、マースリヒトを走っていた。

街灯の光が、濡れたアスファルトに滲む。

――その時。

地面が、生き物のようにうねった。

巨大な花弁が開き、
次の瞬間、リサの姿は闇に消えた。

銀河連邦軍・緊急判断

被害拡大を受け、ジンダイジ博士は決断を下す。

「ジゴク草を焼き払え」

フェニックスファイターが火を放ち、花々は燃え上がった。

だが――

「……リサは……」

炎の向こうに、彼女の姿はなかった。

胞子は、太陽を避けるように地下へと逃れ、
下水道網で成長を続けていた。

ハヤトは、操縦席で拳を震わせた。

(俺が……殺した……)

その心を、アンナ艦長の声が叩いた。

「ハヤト!」

「リサは、そんな簡単に死ぬ人じゃない」

「あなたが、信じなくてどうするの?」

沈黙。

その直後、警報が鳴る。

「街に機械獣出現!」

「出動よ!」

ハヤトは、唇を噛みしめた。

「……ラジャー」

市街戦

街では、チェムラヒム大佐と機械獣パルガターンが暴れていた。

「いらっしゃ~い、スターフォース♪」

「楽しませてあ・げ・る!」

戦闘が始まる。

だが、ハヤトの心は揺れていた。

――その時。

通信が入る。

「ハヤト……聞こえる?」

「……リサ!?」

「無事よ」

安堵が、一瞬で胸を満たした。

「ジゴク草はバイオロボット。
私は……わざと飲み込まれたの」

「弱点を見つけたわ。超音波よ」

「周波数を合わせて、トラクタービームで照射して!」

「了解!」

トミーが即座に反応する。

「ソナーシステム、照射!」

音波が走り、
ジゴク草の胞子は動きを止め、枯れていった。

超重合体・決着

「超重合体だ!」

ゴッドカイザーが姿を現し、
ビッグバンキャノンが火を噴く。

機械獣、ドクト、トンへは一掃された。

「……今日はここまでね」

チェムラヒムは、優雅に去っていく。

「また遊びましょう」

戦いの後

リサの命懸けの行動で、
すべての被害者は救出された。

「乙女の力を、甘く見ないことね!」

トミーは苦笑する。

「……さすがです」

ハヤトは、静かに誓った。

――もう、二度と。
――仲間を、見捨てない。

花の王国に、再び平和が戻る。

だが、銀河の戦争は、なおも続いていた。

つづく

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