SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第10話

狙われたヒノモト皇国 後編

三機の超重戦闘マシンが、炎と煙に包まれた首都トーキョーシティ上空へと降下した。

かつて煌びやかな光に満ちていた街は、無残な瓦礫の海へと変わり果てている。
焼け落ちた建造物、崩れた高架、黒煙の向こうで逃げ惑う人影。

「……ひどすぎる」

ハヤトの声は、抑えきれない怒りに震えていた。

「やつら、やりたい放題じゃねえか……」

「忘れるな、ハヤト」

冷静な声でダイスケが応じる。

「これは罠だ。俺たちをここに引きずり出すためのな」

「分かってる……分かってるけどさ」

トミーも、視界に広がる惨状に言葉を失っていた。

「……これは、さすがに胸に来るね」

その時、警告音が鳴り響く。

――ドクト、トンへ、複数接近。

「前方に敵影!」

ハヤトは操縦桿を握りしめた。

「ダイスケ、トミー……行くぜ!」

三機の超重戦闘マシンが散開し、一斉に火力を解放した。
ビームと砲撃が空を裂き、侵略機を次々と撃墜していく。

その戦いを、ハイデビロン帝国前線基地――
戦艦《ウラジミール・カーディシェフ》のブリッジから、バラキーム大佐は眺めていた。

「ふふ……ようやく、メインディッシュの登場ですね」

モニターに映る三機の姿に、彼は陶然と微笑む。
手には、一輪の赤いバラ。

「美しい……実に美しい。美しいものには、必ずトゲがある」

そう呟きながら、命令を下した。

「全軍に通達。スターフォースを総攻撃せよ!」

戦場は、さらに激しさを増していった。

「くそっ……! どれだけ出てくるんだよ!」

ハヤトのフェニックスナイトは、四方から迫る敵機に囲まれていた。

「おいおい、もうダウンじゃないよね?」

トミーの声が飛ぶ。

「んなわけあるか!」

ハヤトは叫び、即座に判断を下した。

「ダイスケ! 俺とトミーでここを食い止める!
お前は――ミサイルを止めろ!」

「了解!」

ドラゴンキャリアーが旋回し、敵戦艦へと一直線に向かう。

ブリッジでは、バラキームが苛立ちを露わにしていた。

「ええい、なぜたった三機を落とせん!」

「敵一機、こちらへ接近中です!」

「何だと!?」

――その瞬間。

ドラゴンキャリアーの砲門が閃いた。

ハイパートリノキャノン砲が直撃し、
核弾頭を搭載したミサイルは、発射されることなく空中で爆散した。

「……間に合ったか」

ダイスケが息を吐いた、その直後だった。

《うわっ!》

《ハヤト!!》

仲間の悲鳴が、通信に割り込む。

「どうした、トミー!?」

《ハヤトが囲まれてる! 機械獣まで出てきた!》

「分かった、すぐ戻る!」

ダイスケは機体を反転させ、再び戦場へ飛び込んだ。

三人が合流した先で、機械獣キーバーンが咆哮を上げていた。

「助かったぜ、ダイスケ!」

「礼は後だ。トランスフォームするぞ!」

「トミー、あれをやる!」

「今!?……まあ、やるしかないか!」

――合体シフト、起動。

ドラゴンキャノンとシャークスライダーが変形・結合し、
巨大な戦闘形態《ドラゴンカイザー》が完成した。

「行くぞ!」

ハヤトのフェニックスナイトが前に出る。

「オールレンジ・ベータドライバー!」

放たれた攻撃により、機械獣の動きが止まり、全身が氷の結晶に覆われた。

「どいてろ、ハヤト!」

ダイスケが叫ぶ。

「オールレンジ・ハイパーバズーカ!!」

全砲門一斉射。

次の瞬間、機械獣キーバーンは、光と衝撃の中で粉砕された。

戦艦を除く敵機は撤退を開始し、
首都上空から、ようやく静寂が戻った。

「……終わった、か」

ハヤトは瓦礫に覆われた街を見下ろした。

(でも……俺の故郷は、こんなにも……)

「気にすんな」

トミーが、少し無理をした明るさで言う。

「街はさ、また作り直せる」

「そうだ」

ダイスケも頷いた。

「お前の故郷だ。必ず立ち直る」

「……ありがとう」

その言葉は、三人の間で確かに通じ合った。

《全員無事ね。すぐ帰還して》

リサの声が、安堵を含んで響く。

「了解!」

「ラジャー!」

海底基地へ戻るスターフォースを見送りながら、
ジンダイジ博士は大きく息をついた。

「やれやれ……寿命が縮んだわい」

一方、戦艦《ウラジミール・カーディシェフ》のブリッジ。

バラキーム大佐は、怒りに歪んだ表情で床を睨みつけていた。

「スターフォース……覚えておくがいい」

その手にあった赤いバラを、力任せに床へ叩きつけ、踏みにじる。

ヒノモト皇国の危機は、ひとまず去った。
だが、街は深い傷を負い、失われた命は戻らない。

そして――
ハイデビロン帝国が存在する限り、同じ悲劇は何度でも繰り返される。

スターフォースの戦いは、まだ終わらない。

銀河大戦の炎は、さらに激しく燃え上がろうとしていた。

つづく

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