狙われたヒノモト皇国 後編
三機の超重戦闘マシンが、炎と煙に包まれた首都トーキョーシティ上空へと降下した。
かつて煌びやかな光に満ちていた街は、無残な瓦礫の海へと変わり果てている。
焼け落ちた建造物、崩れた高架、黒煙の向こうで逃げ惑う人影。「……ひどすぎる」
ハヤトの声は、抑えきれない怒りに震えていた。
「やつら、やりたい放題じゃねえか……」
「忘れるな、ハヤト」
冷静な声でダイスケが応じる。
「これは罠だ。俺たちをここに引きずり出すためのな」
「分かってる……分かってるけどさ」
トミーも、視界に広がる惨状に言葉を失っていた。
「……これは、さすがに胸に来るね」
その時、警告音が鳴り響く。
――ドクト、トンへ、複数接近。
「前方に敵影!」
ハヤトは操縦桿を握りしめた。
「ダイスケ、トミー……行くぜ!」
三機の超重戦闘マシンが散開し、一斉に火力を解放した。
ビームと砲撃が空を裂き、侵略機を次々と撃墜していく。
その戦いを、ハイデビロン帝国前線基地――
戦艦《ウラジミール・カーディシェフ》のブリッジから、バラキーム大佐は眺めていた。「ふふ……ようやく、メインディッシュの登場ですね」
モニターに映る三機の姿に、彼は陶然と微笑む。
手には、一輪の赤いバラ。「美しい……実に美しい。美しいものには、必ずトゲがある」
そう呟きながら、命令を下した。
「全軍に通達。スターフォースを総攻撃せよ!」
戦場は、さらに激しさを増していった。
「くそっ……! どれだけ出てくるんだよ!」
ハヤトのフェニックスナイトは、四方から迫る敵機に囲まれていた。
「おいおい、もうダウンじゃないよね?」
トミーの声が飛ぶ。
「んなわけあるか!」
ハヤトは叫び、即座に判断を下した。
「ダイスケ! 俺とトミーでここを食い止める!
お前は――ミサイルを止めろ!」「了解!」
ドラゴンキャリアーが旋回し、敵戦艦へと一直線に向かう。
ブリッジでは、バラキームが苛立ちを露わにしていた。
「ええい、なぜたった三機を落とせん!」
「敵一機、こちらへ接近中です!」
「何だと!?」
――その瞬間。
ドラゴンキャリアーの砲門が閃いた。
ハイパートリノキャノン砲が直撃し、
核弾頭を搭載したミサイルは、発射されることなく空中で爆散した。「……間に合ったか」
ダイスケが息を吐いた、その直後だった。
《うわっ!》
《ハヤト!!》
仲間の悲鳴が、通信に割り込む。
「どうした、トミー!?」
《ハヤトが囲まれてる! 機械獣まで出てきた!》
「分かった、すぐ戻る!」
ダイスケは機体を反転させ、再び戦場へ飛び込んだ。
三人が合流した先で、機械獣キーバーンが咆哮を上げていた。
「助かったぜ、ダイスケ!」
「礼は後だ。トランスフォームするぞ!」
「トミー、あれをやる!」
「今!?……まあ、やるしかないか!」
――合体シフト、起動。
ドラゴンキャノンとシャークスライダーが変形・結合し、
巨大な戦闘形態《ドラゴンカイザー》が完成した。「行くぞ!」
ハヤトのフェニックスナイトが前に出る。
「オールレンジ・ベータドライバー!」
放たれた攻撃により、機械獣の動きが止まり、全身が氷の結晶に覆われた。
「どいてろ、ハヤト!」
ダイスケが叫ぶ。
「オールレンジ・ハイパーバズーカ!!」
全砲門一斉射。
次の瞬間、機械獣キーバーンは、光と衝撃の中で粉砕された。
戦艦を除く敵機は撤退を開始し、
首都上空から、ようやく静寂が戻った。「……終わった、か」
ハヤトは瓦礫に覆われた街を見下ろした。
(でも……俺の故郷は、こんなにも……)
「気にすんな」
トミーが、少し無理をした明るさで言う。
「街はさ、また作り直せる」
「そうだ」
ダイスケも頷いた。
「お前の故郷だ。必ず立ち直る」
「……ありがとう」
その言葉は、三人の間で確かに通じ合った。
《全員無事ね。すぐ帰還して》
リサの声が、安堵を含んで響く。
「了解!」
「ラジャー!」
海底基地へ戻るスターフォースを見送りながら、
ジンダイジ博士は大きく息をついた。「やれやれ……寿命が縮んだわい」
一方、戦艦《ウラジミール・カーディシェフ》のブリッジ。
バラキーム大佐は、怒りに歪んだ表情で床を睨みつけていた。
「スターフォース……覚えておくがいい」
その手にあった赤いバラを、力任せに床へ叩きつけ、踏みにじる。
ヒノモト皇国の危機は、ひとまず去った。
だが、街は深い傷を負い、失われた命は戻らない。そして――
ハイデビロン帝国が存在する限り、同じ悲劇は何度でも繰り返される。スターフォースの戦いは、まだ終わらない。
銀河大戦の炎は、さらに激しく燃え上がろうとしていた。
つづく