SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第9話

狙われたヒノモト皇国 前編

ハイデビロン帝国軍から突きつけられた要求は、あまりにも明白だった。
――超重戦闘マシン三機の引き渡し。

だが、ヒノモト皇国はその要求を、ただ一言で拒絶した。

「ほほう……」

通信モニター越しに、バラキーム大佐は優雅に微笑んだ。

「私の要求は呑めない、と? いいでしょう。
では、首都トーキョーシティを、全軍をもって攻撃して差し上げましょう」

声には怒りよりも、愉悦が滲んでいた。

「そうなれば……やつらも、自ずと姿を現さざるを得ない」

その命令と同時に、ドクトとトンへの部隊が首都へ雪崩れ込んだ。

かつて未来都市として栄えたトーキョーシティは、瞬く間に炎と瓦礫に覆われていく。
防衛軍は必死に応戦したが、度重なる戦闘で戦力は消耗していた。
数で勝る侵略部隊に押し潰され、街は一つ、また一つと沈黙していく。

廃墟と化した通りを、ロボット兵士ゴリアテが無感情に進み、
逃げ惑う市民を次々と撃ち倒していった。

――その光景を、誰も止められずにいた。

一方、無人島海底基地。

スターフォースの三人
――ハヤト、ダイスケ、トミーは、医務室で静養していた。
だが、静かな室内に、落ち着きはなかった。

「なあ、ダイスケ」

ベッドに横になったまま、ハヤトがぽつりと呟く。

「なんだ?」

「……あの超重戦闘マシンだけどさ」

ダイスケは片眉を上げた。

「どうした? まさか、ビビってるのか?」

「違う!」

即座に否定しつつ、ハヤトは視線を天井へ向けた。

「精神エネルギーと同調して戦うって話だろ?
今みたいな状態で、また襲われたら……ちゃんと戦えるのかって、考えただけだ」

「珍しいな。お前がそんなこと言うなんて」

「俺だって考える時は考えるんだよ」

その時、隣のベッドから声がした。

「いやあ~、感動的な友情トークだねえ」

トミーだった。

「起きてたのかよ」

「半分ね。うるさくて寝たフリしてたけど、実はさっきまで気絶してた」

「どうせ、看病してもらおうと思ってたんだろ?」

「いやあ~、バレたか」

三人の間に、束の間の笑いが戻る。
だが、その空気は、すぐに張り詰めたものへ変わった。

司令室。

リサは、スクリーンに映る戦況データを睨みしめていた。

「艦長……いつまで、待つつもりですか?」

「今は無理よ」

アンナ艦長は、苦しそうに言った。

「彼らは、まだ戦える状態じゃない」

「でも、このままじゃ首都が……ヒノモト皇国が落ちます!」

沈黙の後、ジンダイジ博士が静かに口を開いた。

「ヒノモト皇国は元々、高度なテクノロジーを持つ国じゃ。
そう簡単には滅びん……だが」

その言葉を遮るように、リサの声が鋭く響いた。

「敵艦隊を捕捉! 下部に……ミサイルを確認!」

博士の顔色が変わる。

「……核ミサイルだ」

「核……!?」

司令室に、凍りつくような沈黙が走った。

その時、医務室からインターコムが鳴った。

《艦長》

ハヤトの声だった。

《俺たち、いつでも出られます》

《許可を》

《もう、休んでる場合じゃないでしょ?》

アンナ艦長は目を閉じ、一瞬だけ迷いを見せた。

「……分かっているのよ。敵の狙いが、あなた達だってことも」

《それでも行きます》

ハヤトの声は、揺るがなかった。

《俺たちが出なきゃ、ヒノモト皇国が終わる。
それじゃ……男が廃る》

「まったく……」

艦長は小さく息を吐いた。

「発進を許可するわ」

「艦長、それは――」

「無茶よ。でもね」

アンナ艦長は微笑んだ。

「今の彼らは、誰にも止められない」

こうして、スターフォースは再び発進した。

その頃、ヒノモト皇国上空では、
核ミサイルが、静かに照準を定めていた。

迫り来る核の恐怖。
崩れゆく首都。
それでも、防衛軍は戦い続けていた。

――スターフォースが戻ってくる、その瞬間を信じて。

彼らは、間に合うのか。
ヒノモト皇国を、滅びから救えるのか。

銀河大戦は、さらに深い闇へと踏み込んでいく。

つづく

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