SF小説 銀河大戦

銀河大戦 第7話

拉致された家族を救え! 前編

ハイデビロン帝国地球侵略軍・前線基地。

冷たい金属の床に、アルトゥール将軍の靴音が響いた。

「……バラキーム、いるか?」

「はっ。ここに」

優雅に一礼するバラキーム大佐。その態度は、戦場に立つ軍人というより、舞台に立つ役者のようだった。

「未だに抵抗を続けているヒノモト皇国へ向かえ」
「住民を拉致し、プリンシパリティ号を誘き寄せるのだ」

バラキームの唇が、ゆっくりと歪む。

「ヒノモトは技術力のある国だ。今のうちに叩いておく必要がある」
「それに……」

アルトゥール将軍の目が光る。

「スターフォースの家族も、あの国にいるらしい」
「一石二鳥というわけだ」

「お任せを」

バラキームは胸に手を当て、芝居がかった仕草で言った。

「華麗に、美しく――あの者どもを始末してまいりましょう」

無人島海底・銀河連邦軍科学技術研究所。

巨大な格納庫に並ぶ超重戦闘マシンの前で、ハヤトは立ち尽くしていた。

「……これが、俺のマシン……」

赤と金を基調とした機体。
その名を、フェニックスファイター。

「勝手に触らないでください」

冷静な声が飛ぶ。

「まだ調整中です」

「わりい、わりい」

ハヤトは頭を掻いたが、視線は機体から離れなかった。

研究所司令室では、アンナ艦長とジンダイジ博士が向かい合っていた。

「クロッペンシュタイン博士は、お元気ですか?」

「ええ。異星人が現れてから、この超重戦闘マシンの完成をずっと待っていました」

ジンダイジ博士は、深く息をついた。

「異星人の科学力は、我々の想像を超えている」
「すでに、この星の一部は侵略され、防衛は限界に近い」

「それでも――」

アンナ艦長は、はっきりと言った。

「私たちは、人類を守ります」

博士は、静かにうなずいた。

「……頼みましたよ、艦長」

ヒノモト皇国・トウキョーシティ。

突如、平和な空を切り裂く轟音が響いた。

機械獣ペクチョーン。
その巨体が街を踏み潰し、ドクトとトンへが無差別に攻撃を浴びせる。

「虫けらどもを、拉致せよ!」

バラキーム大佐の命令とともに、
銀色のロボット兵士ゴリアテたちが住民を捕らえていく。

抵抗する術は、なかった。

やがて――
その光景は、全世界に向けて放送された。

研究所司令室。

「艦長……」

リサの声が震えていた。

「ヒノモト皇国で、住民が拉致されています」

「オンスクリーン」

映し出されたのは、焼け焦げた街。
瓦礫の中で、泣き叫ぶ人々。

アンナ艦長は、画面から目を離さず言った。

「……ハヤト」
「あなたの家族も、拉致されたようよ」

その瞬間――
ハヤトの中で、何かが切れた。

「あいつら……絶対に許さねえ!」

拳を握り締め、叫ぶ。

「艦長!!」

「スターフォース、出動!」

「任せろ、ハヤト!」

「俺たちが一緒だ!」

ダイスケとトミーが即座に応じた。

「作戦はこうだ」

ハヤトは短く説明する。

「海中から接近し、泳いで上陸」
「拉致された人々を奪還する」

「じゃあ、俺のシャークマリンの出番だな」

トミーが笑った。

「準備はできています」

ガイアの声が続く。

スターフォースは、海底を進み、湾岸近くで上陸した。

建物の周囲には、無数のゴリアテ兵。

「俺が行く」

ハヤトが前に出ようとする。

「待て」

ダイスケが肩を掴んだ。

「俺とトミーで、あいつらを引きつける」
「その隙に、お前が中の人を救え」

「……すまない」

「気にすんな」

「行け、ハヤト!」

二人はフェイザーガンを撃ちながら、敵中へ突っ込んだ。

ハヤトは通信を入れる。

「リサ、デリンガーを転送してくれ」

「了解。デリンガー発進」

「ドリルガルガリン、チェンジ!」

地中を掘り進み、監禁室へ。

「みんな、早く逃げて!」

そこに――
母の声がした。

「……ハヤト……」

「……無事でよかった……」

だが、再会の時間は短かった。

「ダイスケ! トミー! 人質は救出した!」

「グッジョブ――うわっ!!」

「どうした!?」

「機械獣が出た!」

ハヤトは、歯を食いしばった。

「今、そっちに行く!」

合流した三人の前に現れたのは、バラキーム大佐。

「ふふふ……」
「わざわざ殺されに来たか、スターフォース諸君」

「お前が……家族を拉致したのか!」

「私の名はバラキーム」
「拉致は、君たちを誘き寄せるための“餌”だよ」

「許さねえ!!」

ハヤトは剣を振るうが、華麗にかわされる。

「その程度ですか?」

バラキームは、嘲笑う。

「相手は、私ではない」
「ペクチョーンが務めてあげましょう」

そう言い残し、姿を消した。

「ちくしょう……!」

街を蹂躙する、機械獣ペクチョーン。

ハヤトは通信を入れる。

「リサ! フェニックスファイターを出してくれ!」

「了解。フェニックスファイター、発進!」

卑劣な罠。
怒りに燃える心。
そして、ついに投入される新型機。

ハヤトは、フェニックスファイターへと向かう。

戦いは、これからだ。

つづく

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