ギャラクシーアタック!
メフィストス艦隊は、何の前触れもなく一斉砲撃を開始した。
虚空を裂く無数のビームが、プリンシパリティ号へと殺到する。
敵旗艦ミハイルコルドゥーン号のブリッジで、
メフィストス将軍は冷笑を浮かべた。「まずは、お手並み拝見といこうか……」
その瞬間、プリンシパリティ号の艦体を覆うように、
淡い青白色の光が展開した。「イージスシールド、オン」
ブリッジでアンナ艦長が静かに命じる。
「ラジャー! イージスシールド、レベル5にセット!」
ダイスケの声と同時に、
敵艦隊の放ったビーム砲は、すべて弾かれ、逸らされ、
あるものは逆に反射して虚空へ消えた。プリンシパリティ号は微動だにしない。
「ワープ3で直進。ハイパートリノキャノン砲、発射!」
艦が空間を歪めながら突進する。
次の瞬間、白熱するエネルギーの奔流が解き放たれ、
敵護衛艦の一隻が、抵抗する間もなく爆散した。「……金城湯池、か」
メフィストス将軍は歯噛みする。
「だが、それだけでは終わらん。
ドクト部隊、トンへ部隊、全軍出動!」号令とともに、敵旗艦および護衛艦群から、
昆虫を思わせる異形の戦闘機〈ドクト〉、
円盤状の爆撃機〈トンへ〉が、蜂の巣を突くように飛び出した。
「敵未確認戦闘機部隊、左舷前方に多数出現!」
リサの緊張した声がブリッジに響く。
「ハヤト、スターフォース出動!」
「ラジャー! ダイスケ、トミー、いくぞ!」
三人のパイロットは駆け足でカタパルトへ向かう。
「スターホーク零、スタンバイOK」
「発進どうぞ」
「いくぜー!!」
新型宇宙戦闘機〈スターホーク零〉三機が、
プリンシパリティ号から弾き出されるように宇宙へ躍り出た。「フォーメーションD!」
三機は一瞬で陣形を組み、敵編隊へ突入する。
「この新型、試してやるぜ!」
ダイスケの機体からフェイザービームが閃き、
トミーのライドロンミサイルが光の尾を引いた。「うおおおおおっ!!」
ハヤトの叫びとともに、
FビームとRミサイルが同時に炸裂し、
数十機のドクトとトンへが、一気に火球へと変わる。さらに、後方からプリンシパリティ号が援護に入った。
コバルト弾連射砲、光子魚雷――
圧倒的火力が、敵戦闘機部隊を瞬く間に殲滅する。戦場は、静寂を取り戻した。
「スターフォース、帰還せよ」
アンナ艦長の声には、勝利の余韻はない。
「敵旗艦、右舷上方へ旋回。メガ反重力粒子砲を叩き込む」
「核融合ハイブリッドメインエンジン、接続」
「エネルギー充填開始。30%」
スターフォースは艦内へ戻り、各員が配置に就く。
「サブエンジン、最大ワープ速度で旋回」
「敵旗艦および護衛艦隊、位置情報捕捉」
「ターゲット、スコープオン」
「総員、衝撃波に備えよ」
「エネルギー充填、100%完了。エンジン切断」
一瞬の静寂。
「メガ反重力粒子砲――ファイヤー!!」
宇宙の闇を切り裂く、圧倒的な光の奔流。
その一撃で、敵護衛艦隊は跡形もなく消滅した。
敵旗艦ブリッジで、メフィストス将軍は咄嗟に叫ぶ。
「最大ワープスピードでホールド! 回避!」
ミハイルコルドゥーン号は、かろうじて空間を歪め、戦場から姿を消した。
戦いは、プリンシパリティ号の圧勝だった。
だが、ブリッジに歓声は上がらない。
これほどの艦隊を指揮するハイデビロン帝国とは何者なのか。
なぜ地球を侵略し、なぜ火星の銀河連邦基地を狙ったのか。
この恐るべき軍事力と科学力は、どこから来たのか。
答えは、何一つ得られていなかった。
銀河は、まだ沈黙している。
だが、その沈黙こそが、次なる戦火の前触れであることを、
彼らは、まだ知らなかった。つづく