SF小説 銀河世紀

銀河世紀 第12話

白き彗星の残光

第一節 崩れゆく彗星

「まだ、追ってくるか……」

荒れた宙域で、アレクシス・ドラコニアは戦況を見据えていた。

白色彗星機動艦隊――かつての精鋭は、もはや影だけが残っている。

「避難船団、三十七隻。戦闘能力なし」

「敵は?」

「帝国残党、戦闘艦二十……増援反応あり」

ドラコニアは静かに息を吐く。

「守るしかないか……」

その時、前に出た影があった。

ヘレン。

「私が行く」

「無茶だ、単騎で何を……」

「中から壊す」

短い言葉。

迷いはなかった。

白い小型艇が射出される。

彗星の残光のように戦場を駆け、敵艦へ接舷。

「突入成功」

直後、敵艦内部で爆発。

一隻、機能停止。

だが――

「敵増援、さらに十!」

包囲が完成する。

「ヘレン、撤退しろ!」

「まだ、です」

息が荒い。

「船団が逃げるまで……」

通信が乱れる。

そして、途切れた。

第二節 蒼き介入

その瞬間、空間が歪む。

一隻の艦が現れる。

古い船体。

だが、異様な静けさ。

「識別不能……」

艦内。

白いホログラムが立つ。

アストライア。

「戦況解析完了。敵三十、こちら一隻」

一拍。

「勝率、62%」

艦長席の男が答える。

マーク・ジークフリート。

「十分だ」

通信が開く。

「こちら、ジーク。民間船を守る。」

ドラコニアが応じる。

「遅いが、歓迎する」

第三節 戦い方の違い

「敵旗艦を無力化します」

「やれ」

アストライアの声は揺るがない。

砲撃。

一発。

それだけで、敵旗艦の機関部が沈黙する。

「次」

二発目。

通信中枢破壊。

敵艦隊は混乱に陥る。

「なんだ、その精度は……」

ドラコニアが息を呑む。

白色彗星の突撃とは違う。

これは――

戦術で支配する戦い。

「ヘレンの位置」

「敵艦内部。生命反応、微弱」

「回収する」

アストライア号が突入する。

接舷。

煙の中。

倒れかけたヘレンの腕を掴む男。

「間に合ったか」

「遅い」

かすかな声。

「悪いな」

第四節 残光の先へ

戦闘は終わった。

敵は崩壊し、逃走。

静寂。

避難船団は守られた。

ドラコニアが問う。

「なぜ助けた」

ジークは答える。

「見捨てる理由がなかった」

「それだけか」

「ああ」

そして、少しだけ視線を上げる。

「ここで見捨てたら、俺はこの銀河で生きられない」

ヘレンが立つ。

傷だらけのまま。

だが、その足は止まらない。

ジークの後ろへ。

そこに、クラリッサ。

ヘンリー。

三人が揃う。

ジークは静かに言う。

「この三人と……」

一拍。

「この銀河で、この時代を生きる」

遠くで、ドラコニアは、それを見ていた。

白き彗星は砕けた。

だが、その残光は、消えていない。

新しい光が――今、生まれた。

つづく

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